タマゴさん

松谷先生!今日のお悩み相談は「漢字が書けない」についてです。

お母さんたちから相談をもらっているんですけど、こういうことって、先生に相談できますか?

「漢字が書けない」小学生のお母さんたちの悩み

✔ 字が汚い
✔ 他の漢字と一部がごっちゃになる
✔ 書いているうちに違う漢字になる
✔ 自己流の勝手な漢字を創作する
✔ とめ、はねを無視する
✔ 読めるのに、書けない

まつせん

もちろん!

「漢字の練習をいやがって、ちっとも宿題が終わらない。付き添いするだけでグッタリします」

「小5なのに、小3の漢字すら怪しい。このまま中学に行って大丈夫なのか心配で心配で・・・」

などなど、お母さんたちの悲痛な叫び声が聞こえてきます・・・

まつせん

僕も子どもの頃、漢字は書けなかったよ。おまけに字が汚いし。

タマゴさん

えっ? そうなんですか?

まつせん

40代でビジョントレーニングに出会って、今でこそ苦もなく、普通に書けるようになったんだ。

タマゴさん

そうだったんですね。先生はなぜ、漢字が書けなかったんですか?

まつせん

私は小さい頃から目がとても悪くてね。右が0.3、左が0.01。視力が弱いし、左右差がひどかった。そのせいで、書けなかったんだよ。

タマゴさん

漢字が書けない子はみんな先生のような目なんでしょうか?

まつせん

人それぞれだよ。視力は悪くないけれど、遠くを見る習慣がない子。

板書が見れなくて、漢字が書けない子もいる。近くが見えてなくて、細かい部分が見えてない場合もある。

視力そのものというより、目の使い方が原因のことは、とても多いよ。

タマゴさん

目の使い方・・・?

まつせん

あとは、認知の問題もある。脳内処理したものをどう表現するのか、アウトプットの問題だね。どちらも目がテーマでしょ?

タマゴさん

ホントだ・・・今気付きました!目と漢字なんて、全く結びつかないと思ったけど。

まつせん

そうなんだよ。学校の先生も気がついていないことが多いね。

「字を丁寧に書きましょう」「繰り返し練習しましょう」と言い続けていることもあるよ。

それでできればいいんだけど・・・できない子が増えている。

タマゴさん

では、今日は「漢字が書けない・苦手」と言っている小学生の子たちの原因と対策についてお願いします!

「漢字が書けない」「漢字が苦手」の原因は大きく2つ

「うちの子はなかなか漢字が書けるようにならなくて・・・もしかして、学習障害なんでしょうか?

発達障害ではないと思うので、支援級に入るほどでもないのです。でも、このまま放っておくわけにもいかず。支援を受けられるわけでもないし・・・」

というご相談をいただくことがあります。

学習障害、発達障害と慌てる前に、「そもそも、なぜ書けないのか?」というところに注目してみましょう。お子さんの「困った」を「いいね!」に変えていくヒントが見えるかもしれません。

「漢字が書けない・苦手」という場合に考えられる原因は大きく分けて2つあります。

「漢字が書けない・苦手」の2つの意外な原因

1. 身体力の弱さ(アウトプットの問題)

漢字を正しく認識できているが、上手く書けない

2. 認知力の弱さ(インプットの問題)

そもそも漢字を正しく認識できていない

このように説明されても、あなたはピンとこないかもしれません。そこで、具体例を挙げて解説していきますね。

「漢字が書けない」と「身体力の弱さ」の関係(アウトプットの問題)

まつせん

タマゴさんの利き手はどっち?

たまごさん

左です。

まつせん

じゃあ、右手で名前を書いてみて。

タマゴさん

えー難しいな・・・やっぱり上手く書けない

まつせん

そうですよねえ。じゃあ、もうちょい、イケズしよっかな。

えー 勘弁してくださいよおー

まつせん

足の指で鉛筆を持って、名前を漢字で書いてみてよ。

たまごさん

うぐぐぐぐぐ うおおっ

まつせん

古代文字みたいだね・・・笑

タマゴさん

一生懸命書いてみたんですが、自分でも何書いてあるかわかんないなあ!

まつせん

ですよね〜 これが、「身体的な弱さ」。漢字が上手く書けていない状態です。

利き手と反対の手や、足の指を使って字を書くのは、使い慣れていなくて難しいでしょ。使い慣れてなくて神経が未発達なんだよ。

これと同じことが利き手でも起きているということ。

訓練すれば上手くなりますよ。

「身体力の弱さ」のイメージがつかめましたか?

いわゆる「ぶきっちょさん」。私の子どもの頃もそうでした。不器用で鉛筆が上手く持てない子に多く見られます。指先の神経が発達・成長していないので、漢字を認識できても、書けません。手指の制御が難しいのです。

そんな子たちに次のようなことは言わないでください(言いたくなりますけどね)。

「字が汚いよ、キレイに書いて」
「早く書きなさい。 簡単な漢字でしょ」

利き手と反対の手で書く、足の指で書く、という例を思い出してみましょう。ただでさえ、書きづらいのです。

その上、先生からもお母さんからも「字が汚い」「丁寧に書かないとダメ」と言われつづけ、上手に書くことを強制されると、書くこと自体がイヤになりません? 私は子どもの頃、ばっちりイヤになりましたよ。

少なくとも、ワクワクして「やるぞ!」という気にはならないですよね?

不器用さは訓練すれば上手くなるのです。ところが、「やりなさい!」と強制される環境だと、幼少期の私のように「書く」という行為そのものが嫌になってしまいます。悪循環になるだけです。

子どもは「書きたい」という好奇心を持っているものです。先生からもお母さんからも「字が汚い」「丁寧に書かないとダメ」と言い続けると、好奇心を奪ってしまう原因になりかねません。せっかくの訓練の機会を台無しにしてしまいますので、注意してくださいね。

「漢字が書けない」と「認知力の弱さ」の関係(インプットの問題)

次に、「認知力の弱さ」が原因の場合について説明します。

冒頭のお母さんたちのお悩み↓に当たります。

✔ 他の漢字と一部がごっちゃになる
✔ 書いているうちに違う漢字になる
✔ 自己流の勝手な漢字を創作する
✔ とめ、はねを無視する
✔ 読めるのに、書けない

認知力については個人差がとても大きいので、ひとくくりに言えませんが・・・簡単に言うと「書こうとする漢字を正しく認識できていない」ということです。

正しく認識できていない原因は2つあります。

漢字を正しく認識できていない2つの原因
  1. 視力が弱く、単純に見えていない
  2. 見えているが、脳内で上手く処理ができていない

それぞれ説明しますと・・・

1.  視力が弱く、単純に見えていない

「うちの子は視力検査で1.0だから大丈夫」と思わないようにしましょう。たとえ、1.0の視力があったとしても、遠視の場合、近く(手元)は見えていない場合があります。

お手本の字自体がよく見えておらず、「とめ」「はね」など細かい部分が認識できていないということも考えられるのです。

2. 見えているが、脳内で上手く処理ができていない

言葉の説明だけでは理解が難しいので、児童精神科医である、宮口幸治先生の著書「ケーキを切れない飛行少年たち」を引用して解説します。

「ケーキを切れない非行少年たち」宮口幸治先生著より引用

「お手本図を見て、真似て書いてみてください」という課題に対して、認知力の弱い少年が描いたものです(幼児ではなく、少年院に入っている少年が描いた図です)。

このような簡単な立方体の図であっても、認知力の弱い子どもが模写すると、歪んだ形で表現されます。

つまり、お手本の漢字があったとしても、

お手本通りに認識できない ⇒ お手本通りに書くことができない

ということです。

以上、「漢字が書けない」の原因を2つお伝えしましたが、いかがだったでしょうか? 意外だったかもしれませんね。

思ったとおりに身体が動かせていない、お母さんが見えいるのと同じように認識できてない、という可能性があるかもしれないということです。

このような状態のお子さんに「ちゃんと漢字を書きなさい」と言っても、とてもとても難しいのです・・・あなたのお子さんはいかがでしょうか?

まとめ:「漢字が書けない」と思ったら、無理強いせずに「映し出されているもの」に注目を!

タマゴさん

「漢字が書けない」の原因、目から鱗でした〜

まとめると、

1. 身体力の弱さ(アウトプットの問題)
2. 認知力の弱さ(インプットの問題)

でしたね。

まつせん

そうだね。今回は分かりやすいように簡単に説明したのだけど、ひとりひとりの状況によって、複雑に絡み合っていたりするんだ。

タマゴさん

そうなんですね。でも、「鉛筆が上手く持てない」という理由くらいなら、鉛筆に取り付ける、持ち方矯正グッズで何とかなるんじゃないですか?

まつせん

私からすると、あの類のものは諸悪の根源だねえ。

タマゴさん

そうなんですか? とりつけるだけで簡単じゃないですか。

まつせん

不器用な子は「鉛筆の持ち方が悪い」というのが原因じゃないからだよ。本当の原因はもっと手前にあるんだ。

そこに大人が気付いてあげられるかどうかが、その後の能力を伸ばせるかどうかの運命の分かれ道になる。

タマゴさん

ということは、「指先の神経を発達、成長させてあげる」というのが先?

まつせん

そう、正解。タマゴさん冴えてるね〜

タマゴさん

えへへ、ありがとうございます♫

まつせん

認知力が弱いことに関しても同じことが言えるよ。

タマゴさん

えっと・・・たとえば、「漢字ドリルを覚えるまで何度もさせる」とか?

まつせん

それで、書けるようになれば問題ないけどね。書けないのに、延々とやらせて、「なんで書けないの!」とお母さんは怒り続け、子どもは嫌がって泣き続ける。誰も幸せにならないでしょ。

タマゴさん

つらすぎますね・・・

まつせん

「漢字が上手く書けない」というのは、お母さんが心配して相談に来るんだ。子どもじゃなくてね。お母さんからすると、「私は漢字で苦労しなかったのに、なぜ、この子はできないの?(できるはず)」と思っている。

タマゴさん

「あともう少しすれば、できるようになるはず」って思いたいし、自分ががんばって教えれば克服できるって期待したい気持ちもあるかもしれないですね。

まつせん

そうだね。でも、子どもは「やりづらい」のが当たり前になっているから、「やりづらい」ことを分かっていないし、訴えることもできないでしょ。

タマゴさん

確かに。じゃあ、どうすればいいんですか?

まつせん

漢字を上手く書くために、あれこれやらせない。その前に子どもの行動を観察するところから始めるといいよ。そして「この子にはどんな世界が映し出されているのか?」を知ることが大切。

タマゴさん

そっか! つまり、対処療法的に対策をするのではなく、根本に目を向けることが大切ということですね。

まつせん

そうだね。こんなことを言ったら、叱られそうだけど・・・ぶっちゃけ、漢字が書けないなんて、大した問題じゃないんだよ。

タマゴさん

えー! 先生、そんなこと言っちゃっていいんですか?

まつせん

それより大きな問題があるということを私は言いたいんだよ。

つまり・・・「漢字が書けない」ということを大きな問題に捉え、子どものやりづらさを理解せずに必死に矯正しようとする行為が、子どもにとって一番の悪影響になるということ。

気づかないうちに、子どもは劣等感を持つようになっていく。それが、将来深刻な問題を起こすことにもなりかねない。

脅しているんじゃなくて、私が事実そうだったからね。

タマゴさん

うーん、深い。

まつせん

「漢字が書けない」という目に見える問題が出てきたのなら、子どもからの「困っているよ」というサインだということに気づいてあげてほしいな。

タマゴさん

親子の絆を結ぶきっかけとも言えますね。

まつせん

そのとおり。その子の特性を受け入れてあげることで、初めて、その子が能力を開花させる土台が整うんだよ。それから、その子にぴったりの方法を考える。

タマゴさん

でもでも、先生。それって、お母さんひとりでできることですか?

まつせん

それは難しいかもしれないね。学校の先生でも気がつかないから。

発達障害や学習障害と診断が出れば、支援を受けられることもある。でも、そうでもない、グレーゾーンの子たちの場合、支援が受けられない。先生から具体的なアドバイスがあるわけでもない。

すると、お母さんは孤立してしまって、とても苦しくなる。そういうお母さんたちにたくさん会ってきたからね。

もし、「漢字が書けない、いろいろやったけど、上手くいかない、ひとりではつらい、苦しい」と思ったら、私のようなビジョントレーナーに相談するのもひとつの手だよ。

タマゴさん

松谷先生に相談するのはどうすればいいですか?

まつせん

ビジョンチェックと呼ばれる視覚力を測るための検査を行っているよ。

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タマゴさん

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